みなさん、こんにちは。以前の記事「増え続ける空き家、国は税制優遇見直しも」でもご紹介したように、日本全国で増え続ける空き家が問題になっています。そして国会でも、今年(2023年)3月に「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。これにより、2015年に施行された「空家等対策特別措置法」が変更され、今まで優遇対象であった誰も住んでいない空き家の固定資産税が3〜6倍に大幅増税になる可能性があります。

空き家の固定資産税はどうやって算出されるか?

そもそも空き家の固定資産税がどのように算出されているのかを考えてみましょう。もともと人が住んでいるか住んでいないかに関係なく、住宅地には「固定資産税の住宅用地特例」が適用され、固定資産税・都市計画税が大幅に軽減されています。これは土地の面積により次のように算出されています。

固定資産税の住宅用地特例

土地の種類固定資産税の算出方法都市計画税の算出方法
小規模住宅用地(※1)課税標準額を6分の1に軽減課税標準額を3分の1に軽減
一般住宅用地(※2)課税標準額を3分の1に軽減課税標準額を3分の2に軽減
※1:住宅やアパート等の敷地で200平方メートル以内の部分
※2:住宅やアパート等の敷地で200平方メートル超の部分

従来は、「空家等対策特別措置法」によって、きちんと管理されていないと判断され「特定空家」に認定された空き家に対しては、「固定資産税の住宅用地特例」が適用されず、高い固定資産税が適用されてきました。
この「特定空家」とは、屋根が抜け落ちたり柱や壁が損壊して倒壊の可能性がある、ゴミ屋敷化していたり不法投棄がされていたり衛生上有害な状態、ゴミや落書き建物の損壊などで周囲や景観に悪影響を与えているような空き家を指します。

「空家等対策特別措置法」見直しの影響

現在、閣議で審議されている「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」では、増え続ける空き家問題を是正するために「空家等対策特別措置法」をより厳しくしていくことが検討されています。
具体的には従来の「特定空家」認定の前段階で、今後放置が続くと特定空家になり得る「管理不全空家」を設定し、特定空家と同じように高い固定資産税を適用する。
さらに、空き家の所有者への責務が強化され、従来の適切な管理の努力義務に加え、国、自治体の施策に協力する努力義務が課せられます。
また、市区町村が区域や活用指針等を定め用途変更や建替え等を促進したり、市区町村長から所有者に対し指針に合った活用を要請することができるようになるほか、NPO法人・社団法人等を空家等管理活用支援法人に指定し活用拡大を図ることができるようになります。
さらに、特定空家についても、倒壊の危険があるような建物の除去(解体)に対して、命令等の事前手続を経るいとまがない緊急時の代執行制度を創設し、所有者不明時の代執行、緊急代執行の費用は、確定判決なしで徴収することができるようになります。

空き家を放置したままにするとどうなってしまう?

現在閣議中の「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が決定し施行されると、いよいよ空き家の所有者は追い込まれてしまいます。
空き家をきちんと管理していかないと、「管理不全空家」「特定空家」に認定され、固定資産税・都市計画税が3〜6倍になってしまうだけでなく、市区町村からの活用・改善に従わない場合、罰金が科される場合があります。
さらに倒壊の可能性がある空き家を放置すると、市区町村による代執行により強制的に建物が除去(解体)された挙げ句、かかった費用は全額空き家の所有者に請求されます。

今すぐ考えないと手遅れになる空き家問題

最近、近所の空き家がある日突然、きれいなマンションやアパート、一軒家に建て変わっている様子を目にすることが増えたように感じませんか。それは偶然ではなく、今回紹介したような空き家問題対策や法改正が影響していると考えられます。
もし、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律案」が今国会の衆参両院で可決され、施行されると、早ければ今年度内に空き家の固定資産税・都市計画税が大幅増税になる可能性があります。
そして、空き家の税金が上がれば所有者は一斉に空き家・空き地の活用方法を検討することになり、その結果、倒壊の可能性があるような空き家を解体するための解体業者の不足やその後の活用を考えた場合の建築業者の不足が発生するかもしれません。また、建物の解体の有無にかかわらず、空き地の売却を考えた場合も、空き家・空き地の供給過多が発生し値崩れが生じ、売却が難しくなる可能性もあります。

「空き地問題」は、不動産所有者にとって待ったなしの大きな問題となりつつあります。現在、空き家・空き地をお持ちで、その活用方法などにお困りの方は、遠慮なくザ・貸地にご相談ください。
更地ではなく、建物(空き家)がある場合でも、ザ・貸地では様々な活用方法をご提案いたします。